自動車会社を退職して保険会社Yに中途入社した労働者Xが、求人広告の内容、
会社説明会での説明を根拠に、新卒同年次定期採用者の平均的格付けによる給与を支給することを内容とする雇用契約が成立していたにもかかわらず、Yは平均的格付けを下回る格付けによる給与を支給したとして、(1)未払賃金、(2)不法行為に基づく慰謝料、
(3)時間外手当の未払分およびその付加金を請求したケースの控訴審で、
原審はいずれの請求も棄却したが、(1)については、求人広告自体は個人的な雇用契約内容の申込みの意思表示とみることはできないとし、更に説明会における説明内容は、
給与の具体的な額又は格付けを確定するに足りる明確な意思表示があったものと認められず、新卒同年時定期採用者の平均格付けによる給与を支給する旨の雇用契約が成立したと
認められないとして、Xの控訴が棄却、
(2)については、求人広告、面接及び社内説明会において、新卒同年次平均的給与と同等の待遇を受けることができるものと信じさせかねない説明をしたことが労働基準法一五条一項(労働条件の明示)に違反するとし、
不法行為に基づく慰謝料についてXの控訴が認容された事例。
なお(3)については、割増賃金の支払については認容されたものの、付加金については不足額が少額であること等を理由に棄却された。
労働基準法15条
労働基準法36条
労働基準法37条4項
労働基準法114条
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